2011年4月28日木曜日

ハハコグサ

[2011/04/27  千葉県印西市]
道端にカラスノエンドウに交じって黄色い花が

[2011/04/27  千葉県印西市]
頭状花序、黄色い花、葉と茎に白い綿毛

【分類 / 学名】

科: キク科 Asteraceae
属: ハハコグサ属 Gnaphalium
種: ハハコグサ Gnaphalium affine
英名: Jersey Cudweed
仏名:  見当たらず
原産地:  日本、朝鮮、中国、マレーシア、インド


【観察】
水田の横や里山の道端で目につきます。頭状花序に小さな黄色い花がみっちりとひしめき合っている感じです。、葉と茎に白い綿毛があります。花にも葉にも特徴があるので一度頭に入れば、識別は難しくないと思います。


【話題】
○ 何といっても春の七草のひとつであること。「芹なずな 御形はこべら 仏の座 すずなすずしろ これぞ七草」と和歌に歌われている。「御形(ゴギョウ)」がハハコグサ、「すずな」がカブ、「すずしろ」がダイコンです。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

ウワミズザクラ

[2011/04/27  千葉県北総花の丘公園]
真っ白な花をつけた樹木が目を引きます

[2011/04/07  千葉県北総花の丘公園]
ふわふわした尻尾のような花です

[2011/04/07  千葉県北総花の丘公園]
横向きの円柱状の総状花序が印象的です

[2011/04/07  千葉県北総花の丘公園]
総状花序の接写。風が強かったので手で押さえて撮影

【分類 / 学名】

科: バラ科 Rosaceae
属: サクラ属 Prunus / ウワミズザクラ属 Padus
種: ウワミズザクラ Prunus Grayana  /  Padus Grayana
英名: Japanese bird cherry / Gray's bird cherry
仏名:  見当たりません (英名を仏訳すれば... Cerisier des oiseax du Japon?)
原産地: 日本、中国


【観察】

この一週間ほど目につくようになっていました。写真に収めて、いつものようにインターネットで画像検索しました。決め手になる検索ワードがうまく頭に浮かばず苦労しましたが、何種類かを試しているうちに見つかった次第です。

数十メートル離れていても、樹木一面を飾る総状花序はいやでも目に入ってきます。写真でも分かるように、ほとんどの花序が上向きでも、下向きでもなく、ほぼ横向きであるところが印象的です。花序は、昔の割りばしを芯にした「アイスキャンディー」を思わせるほどの、円柱に近い形を意識させます。


【話題】

○ サクラの仲間とは! でも、花序の中に見える花一つ一つはサクラの花に似ています。

○ 花序の形を「ブラシ状」と表現している説明が多くあります。長いオシベがブラシの毛のように見えるためでしょうか。

○ この長い雄しべ、一つの花に30本前後あるそうですが、ど派手に長い「つけまつ毛」を連想してしまいます。そこで、個人的には「ドハデ付けまつ毛ザクラ」として記憶することにしました。連想の流れは、「付けまつ毛で上目使い」→「ウワメヅカイ(ザクラ)」→「ウワミズ(ザクラ)」

○ イヌザクラに似ているので注意! まだイヌザクラを識別したことはありませんが、違いは以下の通りだそうです。これを覚えておけば、初めて見ても確実に識別できそうです。

ウワミズザクラ:枝の先端に花序がつく。花序をつけた枝には葉がある。
イヌザクラ:枝から花序の枝が別途生える。花序の枝には葉がない。開花はウワミズザクラより一足遅い。

○ 属名でPrunus と Padus 争いがあるようです。アマチュア植物愛好家には厄介なことです。

○ 食用になるんですね。実がなったら味見してみなくては。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【今日の英仏語】
Yahoo! France の質問コーナーから拾いました。
質問が、Comment savoir qu'un sol est acide ou alcalin? (土壌が酸性かアルカリ性かはどうやって知ることができますか?)
参考URL: http://fr.answers.yahoo.com/question/index?qid=20070416082215AAqejED

その中の回答の一つが以下のものでした。
"Mon experience me fait preferer l'observation de la vegetation spontanee (ce qu'on appelle des mauvaises herbes) :
Sur un sol calcaire tu trouveras des coquelicots, de la moutarde, des bleuets
Sur un sol plus argileux apparaissent du pissenlit et du liseron
Sur un sol acide se developpent plus facilement des achillees, la carotte sauvage, la bruyere."
「(大雑把な訳)そこに生える雑草で見わけられます。石灰質土壌なら...が見られ、粘土土壌なら...が見られ、酸性土壌なら...が見られるでしょう」

この回答者は「雑草 mauvaises herbes」とは言わずに「自然植生 la vegetation spontanée」 と表現しています。植物愛好家の証拠ですね。

上記の回答から、フランス人によく知られている=フランスでよく見られる「雑草/自然植生」が読みとれます。

雑草
英語:weeds
仏語:mauvaises herbes

自然植生
英語:spontaneous vegetation
仏語:la vegetation spontanée

ヒナゲシ
学名:Papaver rhoeas
英語:corn poppy / corn rose / field poppy / Flanders poppy / red poppy / red weed
仏語:coquelicot

ノハラガラシ
学名:Sinapis arvensis
英語:wild mustard / charlock
仏語:moutarde des champs

ヤグルマギク
学名:Centaurea cyanus
英語:Cornflower / Bachelor's button / Bluebottle / Boutonniere flower / Hurtsickle / Cyani flower
仏語:bleuet des champs

タンポポ
学名:taraxacum 属
英語:dandelion
仏語:pissenlit (「おねしょ」の意味もある)/ dent-de-lions

セイヨウヒルガオ
学名:Convolvulus arvensis
英語:field bindweed
仏語:liseron des champs


ノコギリソウ(属)
学名:Achillea (属)
英語:yarrow
仏語:achillée

野生ニンジン
学名:Daucus carota(栽培品種も野生品種も同じ種に属す)
英語:wild carrot
仏語:carotte sauvage


カルーナ(属)/エリカ(属)
学名:Calluna(属)/ Erica(属)
英語:common heath / heath(ern)
仏語:bruyère

フランス語の雑草の俗名は含まれる範囲があいまいのものが多く、まとめるのに一苦労しました。

2011年4月26日火曜日

ヤハズエンドウ (カラスノエンドウ)

[2011/04/25 千葉県印西市]
野原や水田の横など、いたるところに見られます

[2011/04/25 千葉県印西市]
花の部分をアップして観察しました

ツルがあって、花の形がマメ科の花に似ているので、インターネット検索で「野の花 4月 マメ科」と入れ、画像検索すると一発で見つかりました。


【分類 / 学名】

科: マメ科 Fabaceae
属: ソラマメ属 Vicia
種: オオヤハズエンドウ Vicia sativa
亜種: ヤハズエンドウ Vicia sativa subsp. nigra / Vicia angustifolia
英名:  Narrow-leaved Vetch ( Vicia sativa の俗名のGarden vetch も使われる)
仏名: Vesce à feuilles étriotes / Vesce noire
(Vicia sativaはvesce cultivée / vesce commune / poisette / bisse / barbotte)
原産地: オリエントから地中海地方


【観察】

この季節、道端、野原、あぜ道などいたるところに見られます。春の基本の風物詩的な野の花としてこれは名前を覚えなければと、検索したら、簡単に名前が見つかりました。


【話題】

○ 古代は作物、今は雑草:「原産地はオリエントから地中海にかけての地方であり、この地方での古代の麦作農耕の開始期にはエンドウなどと同様に栽培されて作物として利用された証拠が考古学的資料によって得られている」(ウィキペディアより)。他の栽培植物の方が栽培効率が良かったために見捨てられたということなのでしょうか。恩知らずの人間に対して、雑草になり下がっても、その存在感を誇示しているのでしょうか。

○ 麦とともに日本に伝来した有史前帰化植物:このような記述が多く見られるのですが、ぜひその根拠を知りたいものです。

○ オオヤハズエンドウはフランス語の俗名で vesce cultivée (栽培されるソラマメ属)。牧草として栽培されているようです。

○ 似通った植物に以下のものがあるとのこと
オオヤハズエンドウ(花がもっと大きい)
スズメノエンドウ(花が最も小さい。花は淡色)
カズマグサ(花がやや小さい。二つの花がペアでつく)

○ 北米にも帰化植物として広く分布しているようすです。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

2011年4月22日金曜日

ジュウニヒトエ

[2011/04/22 千葉県印西市の雑木林にて]
危うく踏み潰すところでした

[2011/04/22 千葉県印西市の雑木林にて]
少し離れたところにもうひと群れありました

【分類 / 学名】

科: シソ科 Lamiaceae
属: キランソウ属 Ajuga
種: ジュウニヒトエ Ajuga nipponensis Makino
英名:  属としては Bugleweed / Carpet bugle / Groud pine
仏名:  属としては Bugle / Ajuga の両方が使われているようです
原産地: 日本、(朝鮮、中国)?


【観察】

近くの雑木林を散策していたときに見つけました。落ち葉の中から20センチほどの高さで数株が群生していました。遠くから見ると、それほど目立たない花ですが、近づいて観察すると、花弁の形がとてもユニークで美しい花です。花の色は白に近い薄青色でしょうか。花弁の下部だけが3裂して大きくなっている感じで、しもぶくれというか、受け口の花です。

インターネットで検索したのですが、どうしても見つからず、「教えてgoo」に「この花の名前を教えてください」と投稿しました。投稿には縦横各320ピクセル以下に画質を落とさねばならず、こんなピンボケ風の画像では識別は難しいのではないかと危惧していたのですが、5分と経たないうちにさっそく回答がありました。見事に「アジュガ、十二単」との指摘でした。 世の中には本当に花に詳しい方がいらっしゃるものだと感心しました。

【話題】
○ なんと、このジュウニヒトエはいくつかの県では「絶滅危惧種」に指定されているレアな植物なんですね。我が千葉県では「一般保護生物」に指定されていました。今まで、植物好きならだれでも知っているものばかり掲載してきたのですが、今回はちょっと、オタクの領域に入った気分を味わいました。こんなレア種が我が家からすぐの雑木林に当たり前のように生息しているのですから、我ながら素晴らしいところに住んでいるんだなと実感もしました。

○ 属としてのAjuga(キランソウ属)はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアなど、世界の熱帯や温帯に50種ほどあるそうです。北米に原生しているとは書かれていないので、アメリカ人は知らない人もいそうです。西欧ではおそらく、特別な植物ではないと思われます。

○ シソ科(lamiaceae)の植物の俗名は、英語 labiate 、仏語 labiée で、どちらもラテン語の labium (pl. labia) からで、シソ科の植物の花の形が唇形をしていることからついた名前。その中で、もっとも下唇が突き出しているのが ajuga 属。

○ 「ミント」もシソ科なので、その例を使えば日本の「シソ」がハーブとして使われるのは当然と説明できそうです。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【英仏語の勉強】

以下の仏文を材料にしてみます。
参照サイト:http://isaisons.free.fr/ajuga.htm

"L'ajuga est appelée communément bugle, ou ivette ; elle appartient à la famille des labiées. Comme toutes les plantes de cette famille, elle présente des tiges à section carrée, des feuilles opposées et des fleurs tubulaires à la base ; le pétale inférieur, en forme de lèvre, est le plus développé."

「アジュガ(属)は一般に bulge または ivette と呼ばれ、シソ科に属します。シソ科の全ての植物同様にアジュガは茎の断面が四角く、葉は対生で、花は基部が筒状をしており、唇形の花弁の下部は(シソ科のなかで)もっとも発達している。」

一般的に(=俗名では)
英語:commonly
仏語:communément

~科に属す
英語:belong to  the family ~ / bolong to the ~ family
仏語:appartenir à la famille de ~

シソ科(の植物)
英語:labiates
仏語:labiées


英語:stem
仏語:tige

四角い断面の
英語:square (quadrangular) in cross section
仏語:à section carrée

対生の葉
英語:opposite leaves  (注:opposed ではない)
仏語:feuilles opposé

筒状の
英語:tubular
仏語:tubulaire

唇形の
英語:liplike / lip-shaped
仏語:en forme de lèvre

2011年4月21日木曜日

ムスカリ

[2011/04/15 千葉県印西市の里山で]
草むらの中に青紫色の草花が

[2011/04/15 千葉県印西市の里山で]
近づいてよく見るとこんな花

[2011/04/15 千葉県印西市の里山で]
アップで撮りました
自宅に帰ってインターネットの検索で「4月 野の花 青紫」で画像検索すると見つかりました。


【分類 / 学名】

科: ユリ科 Liliaceae
属:  ムスカリ属 Muscari
種: (50~60種)
英名:  grape hyacinth
仏名:  le muscari / lilas de terre
原産地: 地中海沿岸、南西アジア


【観察】

草花には特に弱くて、出会う野の花のほとんどが知らない花です。この花は形が面白くて、どうしても名前を知りたくなったので、検索して、苦労なく見つけることができました。まさにブドウの房のような丸みのある花や、花の開口部を縁取る白い色などで、ムスカリに間違いないと思います。


【話題】

○ これも日本に持ち込まれた花で原産が。地中海沿岸~南西アジア。オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウなどの原産地と重なっているようですね。

○ ムスカリの語源はmusk(ジャコウ)からきているとは興味深いです。muskmelon, musk deer(ジャコウジカ)と親戚の語ということになります。次回は匂いを嗅いでみなくては。

○ 栽培植物として日本に導入され、今では野生化して日本の野山に根付いているんですね。

○ 英語のgrape hyacinth (ブドウヒヤシンス)は外見をうまく言い得て妙です。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【今日の英仏語】

以下のフランス語の文から単語を拾います。短い文でもキーワードがたくさんあります。大雑把な日本語訳をつけてみました。

参考サイト:http://www.futura-sciences.com/fr/doc/t/botanique/d/top-ten-des-10-bulbes-les-plus-cultives_991/c3/221/p8/

Entretien du muscari
Tous les terrains ensoleillés sont favorables à ce végétal, pourvu qu'ils ne soient pas trop humides ou trop
calcaires. Effectuez sa plantation en octobre-novembre, en espaçant les oignons de 6 à 8 centimètres. Ne l'arrosez jamais beaucoup et ne lui apportez pas d'engrais.

ムスカリの手入れ
水気が多過ぎず、石灰質が強すぎなければ、日当たりのよい土地ならどこでもこの植物に向いています。 植え付けは10月~11月に実行してください。球根の間は6~8センチ空けます。水を多くやってはいけません。肥料を与えてはいけません。

手入れ
英語:care
仏語:entretien

日当たりのよい
英語:sunny
仏語:ensoleillé

土地/土壌
英語:soil
仏語:terrain

植物
英語:vegetable / plant
仏語:végétal / plante

石灰質の
英語:chalky
仏語:calcaire

植え付け
英語:planting
仏語:plantation

間を開ける
英語:space
仏語:espacer

球根
英語:bulb
仏語:oignon (玉ねぎと同じ単語)

水やりする
英語:water
仏語:arroser

肥料
英語:fertilizer / (manure)
仏語:engrais

2011年4月18日月曜日

オオイヌノフグリ

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]


【分類 / 学名】

科: ゴマノハグサ科 Plantaginaceae / Scrophulariaceae
属: クワガタソウ属 Veronica
種: オオイヌノフグリ Veronica persica
英名: Persian speedwell / large field speedwell / bird's-eye / winter speedwell
仏名:  véronique de Perse / véronique commune
原産地: 南西アジア(と考えられている)

【観察】

道端、あぜ道、野原などに普通に見られる植物で、春の草花の代表のようです。植物観察が好きな人にとっては基本のキなのでしょうが、この植物の名を覚えたのは今年になってからです。上の写真の左上にヒメオドリコソウが写っているので、大きさがどれくらいか分かりやすいと思います。


【話題】
○ ヒメオドリコソウとともによく知られる帰化植物です。

○ 学名にも、英仏の俗名にも「ペルシャ」を意味する単語が使われています。原産地が南西アジアとなっていることとも符合します。

○ ヨーロッパにとっても北アメリカにとっても、日本と同じく帰化植物です。

○ 雑草: フランス語のWikipediaでは、"C'est une mauvaise herbe à petites fleurs bleues poussant abondamment dans les jardins." 「庭にどっさり生える小さな青色の花をつける雑草です。」と、もろ雑草扱いで表記されています。植物を客観的に説明すべきWikipediaでこのように雑草と決めつけているところがとてもフランス的なように思えます。<br>
参考サイト:http://fr.wikipedia.org/wiki/V%C3%A9ronique_de_Perse

英語のWikipediaでは表現が客観的で、"Although many species in the genera are used in gardens (V.  exalta, V. incana, V. gentianoides, V. longifollia, V. perfoliata, and V. spicata, for example), this species is generally seen as a weed and has no known horticultural uses." 「(前半の訳省略)、この種は一般的に雑草とみなされ、園芸的な利用は知られていない。」と表記されています。<br>
参考サイト:http://en.wikipedia.org/wiki/Veronica_persica

表現はどうあれ、庭いじりの好きな人には厄介な雑草と見られていることが分かります。日本の庭ではドクダミなどが雑草扱いされるのと似ているような気がします。

○ 類似種: タチイヌノフグリ、イヌノフグリなどがあるそうです。タチイヌノフグリは花の直径が5mmとオオイヌノフグリの直径1cmに比べて半分ほどである点、イヌノフグリは花の色がピンクっぽい点で識別できるとのことです。いつか出会いたいものです。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【今日の英仏語】

雑草
英語:weed
仏語:mauvaise herbe

園芸
英語: horticulture
仏語: horticulture

2011年4月16日土曜日

ホトケノザ

[2011/04/15 千葉県印西市の里山にて]

【分類 / 学名】

科: シソ科 Lamiaceae
属: オドリコソウ属 Lamium
種: ホトケノザ Lamium amplexicaule L.
英名: henbit deadnettle
仏名:  lamier amplexicaule (lamier à feuilles embrassantes / lamier embrassant)
原産地: 日本、アジア、ヨーロッパ


【観察】

印西市では、ヒメオドリコソウと同じくらいあぜ道や野山に普通に見られる植物で、見た目もヒメオドリコソウに似ています。


【話題】
○ ヒメオドリコソウと同じオドリコソウ属の植物: 似ているのは偶然ではなかったわけですね。
○ 名前の由来: 対生の葉の形が仏像の台座である蓮座に似ているためだそうです。仏さまがお座りになる場所ですね。
○ 別名は三階草(サンガイグサ): なるほど、蓮座が三階建みたいになっているためですね。
○ 原産地が日本からヨーロッパまで広がっているとは生命力と適応能力が高い植物なんですね。弱弱しそうな外見からは想像もできません。北アメリカにも帰化しているそうです。つまり、アメリカ人にとっても、ヨーロッパ人にとっても、特に興味を引く植物ではなさそうです。「うわー、日本にも原産しているのか!」くらいな感慨でしょうか。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

ヒメオドリコソウ

[2011/04/08 印西市の里山にて]
[2011/04/08 印西市の里山にて]

[2011/04/08 印西市の里山にて]

【分類 / 学名】

科: シソ科 Lamiaceae
属: オドリコソウ属 Lamium
種: ヒメオドリコソウ Lamium purpureum L.
英名: Red Deadnettle / Purple Deadnettle
仏名:  lamier pourpre
原産地: ヨーロッパ(北アメリカ・東アジアにも帰化) 


【観察】
印西市では田んぼのあぜ道、野原などに一般的に見られます。実は、今年春に、初めてホトケノザを識別できるようになりました。すると、野原などにホトケノザにちょっと似た(特に背丈や生えている環境)草花がたくさん咲いていることに気づきました。あるとき、名前を知りたくなったので、インターネットの Google 検索サイトで「ホトケノザに似た」と入れて、画像検索をしてみたところ、一発で、たくさんのヒメオドリコソウの写真が現れ、簡単に名前を知ることができました。


【話題】
○ ヨーロッパ原産の帰化植物: ヨーロッパには日本を含む東アジアから持ち込まれて、栽培され、品種改良された植物がとても多くあります。「知ってますか?ツバキやアジサイは日本原産なのですよ。」のような話を多くするのですが、雑草扱いの植物とは言え、ヨーロッパからの帰化植物が日本で見られることは、ヨーロッパ人にとって、なんとなく、うれしい気分になるのではないかと想像します。明治の中ごろ(正確には明治26年に)東京の駒場で確認されたのが初めてとのことです。

○ シソ科の植物: そうすると、日本の食材のシソを説明するとき、「シソはヒメオドリコソウと同じ科に属する植物で、日本ではハーブとして使うんですよ」のように説明できそうです。確かに、よく日が当ったオドリコソウは紫色になり、赤シソとイメージが似通ってます。でも、「ゲッ、雑草を食べるの?」などというリアクションも予想されそうですね。欧米にシソ属の植物があれば、食材のシソはもっと説明しやすいでしょうね。いつか調べてみなくては。

○ オドリコソウの命名: 菅笠をかぶって踊っている人のイメージからつけられたそうです。英名のdead(死んだ)+nettle(イラクサ)などに比べて、この植物に対するアングロサクソンと日本人の感性の違いが際立って、興味深いものがあります。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

2011年4月13日水曜日

ソメイヨシノ

[2011/04/10  千葉県北総花の丘公園]
日曜日の静かなお花見

[2011/04/10  千葉県北総花の丘公園]
まさに、「♪ 霞か~雲か~」

[2011/04/10  千葉県北総花の丘公園]
賑やかなお花見

[2011/04/10  千葉県北総花の丘公園]
花ばかりで葉がない、それがソメイヨシノ

[2011/04/11  千葉県北総花の丘公園]
ヒヨドリがやってきた

[2011/04/11  千葉県北総花の丘公園]
ダイブしたくなるような花の海
[2011/04/12  千葉県北総花の丘公園]
夜桜の風情もまた格別

[2011/04/11  千葉県北総花の丘公園]
もう桜吹雪、お別れの時
  
【分類 / 学名】

科: バラ科 Rosaceae
亜科: サクラ亜科 
Amygdaloideae
属: サクラ属 Prunus
亜属: サクラ亜属 subg. Cerasus
品種: ソメイヨシノ Prunus × yedoensis Matsumura
英名: Yoshino cherry
仏名:  variété de cerisier du japon "somei yoshino"
原産地: 日本


【話題】
江戸末期~明治初期に江戸の染井村の造園師や植木職人によって育成され、販売されたのが起源とのこと。

ソメイヨシノは種では増えないので、全て人の手で接木、挿し木されて増えたとのこと。いま日本中に膨大な数のソメイヨシノが見られるが、日本人が美しいもの見たさに、その伝播に費やした努力と情熱を想像すると、感嘆してしまいますね。きっと、美しいソメイヨシノを見た人たちが、こんな素晴らしい桜を、うちの村にも植えたい、うちの庭にも咲かせたいと、どんどん広まっていったのでしょうね。日本人の美に対する執念は相当なものだと思います。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

2011年4月10日日曜日

カントウタンポポ


[2011/04/08  千葉県印西市]
近所のスーパー近くの道路わきにタンポポが

[2011/04/08 千葉県印西市]
これはカントウタンポポ?セイヨウタンポポ?側面からチェック

[2011/04/08 千葉県印西市]
萼片(がくへん)、正確には総苞(そうほう)、が全て上向き

[2011/04/08 千葉県印西市]
これではっきり見えます。これは少数派になったカントウタンポポでした
つい夢中になって、摘み取ってしまいました。ごめんなさい。

【分類 / 学名】

科: キク科 Asteraceae
属: タンポポ属 Taraxacum
種: カントウタンポポ Taraxacum platycarpum Dahlst
英名: ?
仏名:  ?
原産地: 日本


【観察】

関東地方で黄色いタンポポを見たらまず日本在来の「カントウタンポポ」か、それとも帰化種の「セイヨウタンポポ」かのどちらかになるようです。(正確には雑種が一番多いそうですが...)

見分け方はいろいろあるようですが、最も簡単なのが、総苞と呼ばれる萼のように見える部分を調べることがそうです。総苞片が全て上向きならカントウタンポポ、すべて下向きならセイヨウタンポポだそうです。

もっとも最近は両者の交雑種が多数を占め、総苞片が一部上向き、一部横向き、一部下向きなどの中間様態になっているとのことです。遺伝子まで調べないとどちらとも言えないものまであるそうです。

どうやら、写真は在来種の「カントウタンポポ」のようです。いまはかなり少数派になったようですが、印西市ではあちこちで、よく見かけます。


【話題】

世界中で60種以上あるそうです。学説によってその種類は大幅に違いがあるようです。

日本の在来のタンポポは黄色なら
ニホンタンポポ
エゾタンポポ

白色なら
シロバナタンポポ
キビシロタンポポ
オクウスギタンポポ
だそうです。
*白色のタンポポは世界に5種しかないのに、そのうちの3種が日本にあるとはすごいですね。

ニホンタンポポは更に細分されて以下のようになるそうです。
カントウタンポポ
カンサイタンポポ
センダイタンポポ
シナノタンポポ
トウカイタンポポ(ヒロハタンポポ)
など

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

2011年4月9日土曜日

花の構造(英語 / フランス語 / 日本語)


知識を整理するために、ここで、被子植物の花の構造をまとめておきたいと思います。ほぼ、50年ぶりに絵?を描きました。自然観察者は「手書きで観察スケッチを」と教えられたので、これからは、毎日最低一枚を目標にスケッチを続けようと思っています。

① 雄蕊(ゆうずい):一般におしべと呼ばれるもの
  英語:Stamen
  仏語:Étamine
 
② (やく):花粉を作る袋状の器官
  英語:Anther
  仏語:Anthère

③ 花糸(かし):葯を支える部分
  英語:Filament
  仏語:Filet

④ 雌蘂(しずい):一般にめしべと呼ばれるもの
  英語:Pistil
  仏語:Pistil

 柱頭(ちゅうとう):花粉を受け取るための器官
  英語:Stigma
  仏語:Stigmate

⑥ 花柱(かちゅう):柱頭と子房をつなぐ細長い部分で、花粉管の通路
  英語:Style
  仏語:Style

⑦ 子房(しぼう):花柱の下の膨れた部分で、受精後発達して果実になる
  英語:Ovary
  仏語:Ovarie

⑧ 胚珠(はいしゅ):受精後種子になる部分
  英語:Ovule
  仏語:Ovule

⑨ 花床(かしょう):花托(かたく)とも言う。花弁、萼片(がくへん)、雄蕊、雌蕊などが
             着生する部分
  英語:Receptacle
  仏語:Réceptacle

⑩ 萼片(がくへん):花が芽、つぼみの時、内側にある花冠、雄蕊、雌蕊をおおって保護する部分
  英語:Sepal
  仏語:Sépale

番外
A. 花弁(かべん):ばなびら
  英語:Petal
  仏語:Pétale

B. 花粉(かふん):種子植物の生殖のための雄性細胞。葯( やく)でつくられる。
  英語:Pollen
  仏語:Pollen

C. 花冠(かかん):一つの花の花弁の総称
  英語:Corolla
  仏語:Corolle

D. (がく):一つの花の萼片(がくへん)の総称
  英語:Calyx
  仏語:Calice

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村

アカシデ

[2010/04/08 千葉県北総花の丘公園]
春なのに赤い色の木が

[2011/04/05 千葉県北総花の丘公園]
赤色の原因は枝から垂れ下がる雄花序

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
幹は樹皮が滑らかで、暗灰白色、縦筋がある

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
枝の色と模様、枝先からでる雌花序これで、アカシデと同定

【分類 / 学名】

科: カバノキ科 Betulaceae
属: クマシデ属 Carpinus
種: アカシデ Carpinus laxiflora
英名: [Japanese] loose-flowered Hornbeam / Oriental hornbeam /Japanese hornbeam / Aka-Shide
仏名:  Charme japonais / Charme du Japon
原産地: 中国、朝鮮、日本


【観察】

この季節、赤い色の雄花序が遠くからでも目立ちます。赤色の雄花序が垂れ下がっているからといって、簡単にアカシデと同定してよいものやら。植物観察の初心者としては迷います。もう少し、証拠を集めてみなくては。

多くの解説にあるように、「雌花は本年枝の先につく」ことと、植物観察の先輩諸氏のサイトに掲載されている雌花の写真をキメ手にして、アカシデと同定しました。

アカシデの雄花序がすべて赤いのかと思ってはいけないようです。北総花の丘公園で「アカシデ」と表示されている木に垂れ下がっている雄花序は黄緑色で、イヌシデのそれと識別できませんでした。出始めは赤くても、まもなくその色が消えるものもあるようです。上記の写真で紹介したアカシデはたぶん、すでに2週間ほど赤いままです。


【話題】

フランス語の場合、「魅力」という意味のcharme と同じつづりの単語なんですね。すると、「日本のクマシデ」=「日本の魅力」になります。英仏語サイトでは「盆栽」の木として紹介されているものが多くありました。盆栽の名前に"Charme du Japon"と書かれて展示されている様子を想像すると、楽しいですね。日本人の私にとっても、春を楽しませてくれる魅力的な木です。

クマシデ属は30~40種があるそうですが、そのほとんどは東アジアに自生し、欧州には2種、北米には1種があるそうです。すると、欧米の植物好きにはHornbeam, Charme でピンとくると思います。
参考サイト:http://en.wikipedia.org/wiki/Hornbeam
       http://fr.wikipedia.org/wiki/Charme

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【今日の英仏語】

シデ(クマシデ属の木の総称)
英語:Hornbeam
仏語:Charme

互生の(葉の付き方「=葉序」を示す用語)
英語:alternate
仏語:alterne

尾状花序(びじょうかじょ: 毛虫?が垂れ下がっているような形の花序)
英語:catkin / ament
仏語:chaton

雄花
英語:male flowers
仏語:fleurs mâles

雌花
英語:female flowers
仏語:fleurs femelles

雌雄[異花]同株の(一本の木に雄花、雌花があるが、別々に離れている)
英語:monoecious
仏語:monoïque

2011年4月8日金曜日

シラカシ

[2011/04/08  千葉県北総花の丘公園]
すっくと立つ常緑樹

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
灰黒色でつぶつぶザラザラの樹皮

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
濃い緑色のカシ類の葉

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
樹皮を背景に葉の表側

[2011/04/08 千葉県北総花の丘公園]
葉の裏側

分類 / 学名
科: ブナ科 Fagaceae
属: コナラ属 Quercus
種: シラカシ Quercus myrsinaefolia Blume
英名: Bamboo-leafed Oak
仏名: Chêne à feuilles de myrsine
原産地: 中国、朝鮮半島、日本

なんといっても、灰黒色のザラザラした粒々の樹皮が印象的な木です。簡単にその樹皮を認識できるようになりました。それほどに特徴的な樹皮です。木は堂々と直立していて、葉がたっぷりと茂っています。千葉県ではごくありふれた木のようです。

にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村