2011年5月17日火曜日

マムシグサ

[2011/05/16  千葉県北総花の丘公園]
なんともユニークな形の頭をした草がありました

[2011/05/16  千葉県北総花の丘公園]
帽子の下に何かありそうです

[2011/05/16  千葉県北総花の丘公園]
失礼して覗かせてもらいました



【分類 / 学名】

科: サトイモ科 Araceae
属: テンナンショウ属 Arisaema
種: マムシグサ Arisaema serratum (Thunb.) Schott
英名: なし(Japanese arisaema) (注1)
仏名: なし(注2)
原産地: 東アジア(中国、朝鮮半島、日本)


【観察】

北総花の丘公園を散歩中に見かけました。最初は、木かと思いましたが、茎に触れてみると草本でした。このようなユニークな形は始めてみましたので、気にはなっていたのですが、そのまま検索もせずにいました。本日、ある植物観察会に参加して、植物に詳しい方にカメラの映像を見てもらい、名前を教えてもらいました。「ミズバショウと同じ構造ですよ」と言われると、なるほど、帽子がなければ確かに似ています。


【話題】

<劇物、シュウ酸カルシウム
球根や葉にシュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれており、うっかり食べると、口からのどのにかけて激痛があり、ひどい目にあうとのことです。そのようなわけで、インターネットの各サイトは「食べてはいけない」のオンパレードですが、ごくまれに、「アイヌ民族は毒抜きして食用にしていた」「飢饉の時は毒抜きして食べた」などの記述もみられます。また、英語のあるサイトでは、シュウ酸カルシウムは容易に中和できるという趣旨の記述もあります(注3)。実体はどうなのか気になります。

<幻想的な肉穂花序と死のトラップ仏炎苞
サトイモ科の植物は、穂状(すいじょう)花序の主軸が肉厚に膨らんだ、幻想的な印象を与える肉穂花序(にくすいかじょ)をもつ。穂の先端に花のない部分をもち、さまざまな形になるものもある。穂の根元から出る苞は、花序を包むような形になって、花びらの役割も担い、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる。仏炎苞は花に寄ってくる昆虫を内部に閉じ込め、その滞在時間を長くして受粉の確率を高める構造になっているそうです。そのような恐ろしい死のトラップが仏炎と呼ばれるのもまた幻想的です。

(注1)Wikipediaの日本語版では英語の俗名としてJack in the pulpit を挙げていますが、これは北米原産の別種であるArisaema triphyllum の英語俗名なので、適切ではなさそうです。あるアメリカのサイトで見かけたJapanese arisaemaは学名と俗名のチャンポンで、苦し紛れの英俗名にも思えます。多くのサイトがcommon name: none としているので、「なし」と理解するのが順当なようです。敢えて、Japanese jack in the pulpit とでも表現すれば、最低限、通じるとは思います。

(注2) フランス語版のWikipediaによると、テンナンショウ属(約170種)が、ときおり "ariséme" と呼ばれるとあります。ヨーロッパにはない属のようなので、この言葉を聞いてピンとくるフランス人は専門家や植物オタクを除いては、いないのではないかと予測します。ましてや、そのうちの1種を呼ぶフランス語の俗語などはないようです。

(注3)
"The plant contains calcium oxylate crystals. These cause an extremely unpleasant sensation similar to needles being stuck into the mouth and tongue if they are eaten but they are easily neutralized by thoroughly drying or cooking the plant or by steeping it in water."
参考URL:http://www.pfaf.org/user/Plant.aspx?LatinName=Arisaema%20serratum



にほんブログ村 花ブログ 季節の花へ
にほんブログ村


【英仏語の勉強】

肉穂(にくすい)花序
英語:spadix (複数形 spadices)
仏語:spadice

仏炎苞
英語: spathe
仏語: spathe

0 件のコメント:

コメントを投稿