2011年5月17日火曜日

キキョウソウ

[2011/05-16  千葉県印西市]
ホトケノザを巨大化して段々を多くしたような植物が


[2011/05/16  千葉県印西市]
キキョウによく似た花が咲いてます

【分類 / 学名】

科:キキョウ科 Campanulaceae
属:キキョウソウ属 Triodanis (旧 Specularia)
種:キキョウソウ Triodanis perfoliata (L.)Nieuw.  
英名:Venus' looking glass
仏名:Spéculaire perfoliée
原産地:北米

(注)上記の仏名はカナダのフランス語圏で使われているもので、フランス本国では知られていないようです。フランスでMiroir du Vénus (ビーナスの鏡)はヨーロッパ原産のキキョウ科レゴウシア属Legousia speculum-veneris という別属のものです。


【観察】

キキョウを検索してみたのですが、キキョウそのものではありませんでした。検索を続けて、ついにたどり着いたのは「キキョウソウ」でした。でも、思った通り、キキョウの仲間でした。


【話題】

ビーナスの鏡:本家争い>
ギリシア神話の美の女神ビーナスの面影を映す鏡とは、大きな賛辞を与えられたものです。しかしながら、この花の威光は北米大陸止まりのようです。フランス国内のサイトで検索すると、ヒット数の少なさや、フランス語の俗名が見つからないことから判断して、この花がフランス人の興味の対象外であることが分かります。

それもそのはず、ヨーロッパにはヨーロッパ原産のれっきとした「ビーナスの鏡」がすでに存在しているのですから。それは同じキキョウ科のレゴウシア属 Legousia speculum-veneris (L.) Fisch. ex A. DC. です。アメリカでは北米産のVenus' looking glass と区別するために、ヨーロッパ産のものをEuropean Venus' looking glass と呼んでいます(イギリスでは Large Venus's looking glassです)。ヨーロッパ産の栽培品種は「レゴウシア」「ブルーカーペット」などの名で日本に入っているようです。

<フランス語の俗名がないと不便?>
カナダのフランス語圏ではSpéculaire perfoliée で統一されているようですが、フランス国内でこの語を検索してもヒットしません。ですから、この表現ではフランス人にはチンプンカンプンだと思います。でも、やはりフランス本国の人たちに納得してもらえるフランス語の俗名があると便利でしょうね。そこで、アメリカではヨーロッパ産をEuropean Venus' looking glass と呼んでいるので、その発想を逆利用して、Miroir du Vénus américain と呼べば、植物好きならピンとくるのではないかと思います。

<日本伝来>
国立環境研究所の「侵入生物データベース」によると、観賞用に導入したものが野生化したようです。すでに、1911年に東京で標本化された記録があるとのことです。寒いところは苦手なようで、分布は福島県以南になっています。


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【英仏語の勉強】

学名で使われる perfoliata は「茎が葉を貫いたような」という意味で、当然ながら、それに対応する日本語、英語、フランス語があります。日本語では「貫穿葉(かんせんよう)」 という用語があるようですが、「貫穿葉」で検索してみると600件ほどの用例しかヒットせず、しかもそのほとんどが中国語のサイトです。そのような形態を実際に表わす場合、それほど定形化されておらず、「葉が茎を抱くような」「葉が茎を囲むような」「茎が葉を突き抜けたような」などが使われているようです。

日本語:(茎が葉を)突き抜けた
英語: perfoliate
仏語: perfolié

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